++硝子の聖堂++

++硝子の聖堂++

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御無沙汰しております。 店主の弥光で御座います。 春も徐々に終わりに近づき 初夏への扉が開こうとしています。 じきに訪れる梅雨が実りをもたらすのですが 雨で身体が濡れて冷えるのは避けたいもの。 せっかく雨宿りするのなら、 美しい場所でしばらくぼんやりしたいですね。 私の旅したある国は神への信仰がとても深く 数えきれないほどの教会や聖堂が立ち並ぶ 恐ろしいほど美しい黒い街並みが存在していて ステンドグラスの光に溢れていました。 個性ある色とりどりの光に包まれながら 何故このような景色になったのかと 年老いた神父に尋ねてみました。 その昔は文字の読み書きも出来ない者が多く 聖典に書いてあることを説明しても 理解をしてもらえなかった そこで 神の存在を感覚的に捉えてもらおうと 信仰の厚い芸術家たちは競うようにして 色硝子で飾られた神秘的な窓を作った 虹は神がかけるものだと信じられていた故に 極彩色の光を浴びた人々は皆 神の存在を理解するに至ったのです 人はとても疑り深く、怖がりで 実際目に見えないと不安で仕方がない。 ステンドグラスから落ちる光を見て、やっと 自分の中で神の存在を確立させたのですね。 海、森、炎、星、空… 古今東西ありとあらゆる美しいものには 神が宿るとされてきましたが そういった美しいものを尊ぶ心が 数えきれないほどの芸術硝子窓を生み出しました。 葉の緑、花のフレーム、果実を描いたり 光が差す細かい描写に至るまで 教会により個性豊かで様々な形をしているのは 美しさの捉え方が人によって千差万別だからです。 自分が美しいと思ったものを信じ抜きたい。 芸術家たちが必死な思いで建て上げた いくつもの美しくも脆い硝子の聖堂は、 まだ知らぬ、見えぬ場所にも… 森の中に、海の底に、例えば死後の世界にも 点々と存在しているかもしれません。 ほんの一部ではありますが 私がその国で見つけた聖堂の窓辺を 装飾品として形に致しました。 難しい話は抜きにして、 ただ、綺麗だなあと感じて頂ければ それが何よりも彼らの救いになることでしょう。 其れでは、また。

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石と硝子を紐で編む店

弥光商店
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