++古城の鍵を持つ令嬢++

++古城の鍵を持つ令嬢++

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春に差し掛かって参りました。 暖かくなると共に、 出会いに別れに忙しい季節です。 春になると、どうしても 思い出すことがひとつあるので お話させていただきましょう。 赤、青、黄の旗を掲げる三つの国。 それぞれの国王の愛姫たちは 城の鍵を首からネックレスのように下げて いつも身につけておりました。 だってこの胸の中が 国中で一番安全ですもの どんなに強い騎士が持つよりも どんなに硬い金庫よりも わたくしはいつも城の一番奥にいて 守られているから でも いざというときには この鍵を閉めて 私が皆を守るわ しかし、今は不思議なことに 各国の歴史書のどこを読んでも 王女が生まれたという記録はない。 彼女たちはその存在を 国民にも世界にも 明らかにされていなかったのです。 それも全て、城を守るための策略でした。 でも寂しくはなかったようです。 隠された三人の王女たちは 彼女たちだけの交流と友情がありました。 春になると年に一度だけ 招待状をお互いに送り合い いずれかの城のどこかの部屋で お揃いの色違いのドレスを着て 秘密のお茶会を続けてきました。 忘れないようにお互いの名前を 何度となく呼び合い また会える次の春までは 手紙をずっと書き続けます。 -きっとまた逢いましょうね- 彼女たちの髪が白くなっても 守りの城が誰にも辿り着けない場所へ隠され もはや侵攻する者も訪れる者すら居なくなっても その胸にはいつまでも城の鍵が 誇り高い使命と共に胸に下げられています。 春が来ると 美しいドレスが纏う薔薇の香りと 楽しげな話し声が聞こえてくるようです。 それでは、又。

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弥光商店
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