架空の画家・加来野仁美の”中の人”
日本初!架空の画家・加来野仁美のTシャツが限定87枚で新登場!!
―花と人が溶ける連作
エソランゴの人々は、新月の夜に祖先が花の精霊として甦ると信じてきました。その夜には、ラグと呼ばれる深い洞窟に集い、全身を花でまとって踊り明かします。このラグを通して花と人が一つになる儀式を、加来野は「ハナラグヒト」と題した連作に描き始めました。
―時代の波が溶ける場所
連作で共通する2つのモチーフ「創造主の右手」と「洞窟ラグ」はシルクスクリーン印刷を用いており、当時隆盛を極めていたポップアートの手法を取り入れています。60年代にポップアートを育んだ大量生産・大量消費の文化は、世界中に近代化をもたらしました。エソランゴも例外ではありませんが、この島では新しい文化をいつの間にか都合よく日常に溶け込ませ、自然と共に悠々と生きることはいつの時代も変わりません。加来野は、近代化の象徴としてシルクスクリーンを用い、島の象徴である踊り子の水彩と対比させることで、何もかも包み込む柔軟かつ強力なエソランゴの文化を描き出しました。
―日常が溶けるTシャツ
花をまとった踊り子たちは、もはや精霊か人間か、男性か女性か、フラダンサーかバレエダンサーか、あらゆる境界の上に浮かぶ曖昧な存在です。エソランゴの人々は、新月の夜に花をまとうことで、日常の規範から解き放たれます。一方、現代を生きる私たちはどうでしょう。今では当然のことですが、人間は服を着ることで社会生活を営んでいます。大量生産・大量消費がもたらした膨大な既製服は、世界中に文化的な日常生活を広めました。けれども祭礼や記念日を彩る特別な衣装も健在です。私たちは何を着るか選択することで、日常と非日常を往来しています。それでは今回のTシャツがもたらすのは、少しだけ心地よい日常でしょうか、「作品をまとう」非日常でしょうか。
私は架空の画家・加来野仁美の”中の人”加来野ミコです。
1962年に太平洋の島国・エソランゴへ渡った加来野仁美(かくのひとみ)は、35歳で亡くなるまでの7年間、現地に数多くの水彩画を残し、その作品群は島の至宝となります。近年では海外の評価も高まる一方、市場に出回る作品が極めて少ないため、幻の画家と称されることになりました。今回は現地のトゥクリファナ・カクノ(加来野記念館)監修の元、連作「ハナラグヒト」をTシャツに印刷し、限定87枚の作品として展開いたします。
[全 4作品]
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