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　作りたい形は己の内にあるようでしたが、それは目を凝らしてもおぼろげにしか見えませんでした。

　ぬいぐるみやあみぐるみ、そして木彫りの制作を通じて徐々にはっきりしてきたその原型は、赤ん坊のような丸い形をしていました。

　以来、既に去った懐かしい何かに再び命を与えるように、取り戻すように、木彫りと毛糸で丸っこい人形を作っています。

　


　ショップ名「ひたなぎ」は、漢字では「直凪」と書きます。

　ひたすらに、まっすぐに、風のない凪のように穏やかな心でいられるようにという願いを込めた名前です。

　ご縁をいただいた皆さまの心にも平安がありますように。

　打ち明けられない心の内側を、表現せずにはいられませんでした。

　幼い頃から様々な表現方法を模索していましたが、心の底から納得できる作品を生み出すことはなかなかできませんでした。見返すのも苦痛なほどでした。

　言葉による表現の限界を感じたとき、形と手触りのあるものを作りたいと思いました。

　木彫りと毛糸で作った人形を作り終えたとき、やっと己の作品を愛してあげられる気がしました。

　木の特性により思い通りの形にならない偶然性すら、我が子との出会いのように尊く思います。