「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈はずでさあ 」
~ 九、ジョバンニの切符きっぷ
* * *
「標本にするんですか。」
「いや、証明するに要るんだ。ぼくらからみると、ここは厚い立派な地層で、百二十万年ぐらい前にできたという証拠もいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水やがらんとした空かに見えやしないかということなのだ」
~ 七、北十字とプリオシン海岸
* * *
これらのちいさな標本たちは、宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』で描いた幻想第四次の時空を、あなたがつかのま旅するための〈切符〉であり、そこでの記憶を、わたしたちの手のひらに連れてくるための〈しるし〉です。
これらの〈標本たち〉が、詩人とわたしたちが、同じ風景を見ているかを確かめるための、小さな証明のかけらとなりますように。
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおののなかのすべてですから)
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