立体版画

こちらは私が制作した立体版画インスタレーション作品です。透明な板を前面に配することで、木箱の中に吊るされた版画が「時間」と「記憶」の層の中に封じ込められているような印象を与えます。作品は見る角度や光の加減によって表情を変え、静止しているようでありながらも、かすかな揺れが「今」という刹那を映し出します。 版画自体は、過去の痕跡を刻むように刷られ、そこに込めた想いや感覚が箱という枠の中で立体的に存在します。箱の外側には装飾的な模様を施し、視覚的なリズムとともに、内と外・個と世界のつながりを問いかける構成となっています。 私はこの作品を通して、「記憶が形を持って存在するとしたら、それはどんな空間で揺れているのだろうか」という問いを表現しようとしました。限られた小さな空間に、内面の宇宙をそっと浮かべたような作品です。 ・サイズ：約17cm × 13cm × 奥行6cm ・技法：木箱＋版画＋アクリル絵具 ・箱の外側もすべて手描き